東京高等裁判所 昭和24年(う)481号 判決 1950年4月24日
被告人
石田勝男
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人信部高雄小林蝶一の控訴趣意第一点について。
所論の要旨は、原判決が昭和二十二年十一月二十五日物價庁告示第千五十三号所定の販賣價格の統制額中販賣業者販賣価格の統制額によつたのは誤まりであつて、賣主の星野円治は卸賣業者であるから、須く卸賣業者販賣価格の統制額に拠るべきであると謂うに帰する。然し乍ら本件記録及び証拠を通じ、星野円治が卸賣業者であるとの事実は必ずしも明らかではないのであるから、原審が事実認定についての自由な判断権に基づき原判決に挙げている証拠を綜合して右星野を販賣業者と認定し、その買受くべき統制額として右告示所定の販賣業者販賣価格の統制額に拠つたことは洵に正当である。而も所論の如く卸賣業者販賣價格の統制額に拠るときは、統制額を起過する額は論旨に示すが如く原判決算定の超過額より多額となり、その主張は明らかに本件事犯の性質に鑑み量刑上被告人の不利益に帰すべきを以て、被告人の爲めにする上訴の本質に照らし、到底採用し得べき限りではない。